
地球が、すでに人類の世界ではなくなってから久しい。
世界はシンギュラリティを起こした機械群に支配され、人々はその片隅で、息を潜めて生き長らえていた。
運び屋‘‘ジュード’’の元に、依頼が舞い込む。
それはシンギュラリティ機械群の影響を受けない、 少女型アンドロイド‘‘フィリア’’を輸送して欲しいというものだった。
世間知らずなフィリアの行動に嫌気がさしながらも、ジュードは旅を始める。
時には略奪を繰り返す人間から逃げ、時には機械群が闊歩する危険地帯を通り抜け、輸送依頼を果たそうとする。
少女は何度も人間になりたいと口にする。
遥か空の先に辿り着けば、アンドロイドは人間になれると言うのだが……?




コメント
人生初のキネティックノベル体験に最適
ネタバレを避けるために抽象的な表現ばかりになってしまいますが、
魅力的キャラクターに細部まで拘った世界観とその描写に対し、これでもかというほど心を揺さぶられ、初めてゲームという媒体で嗚咽するほどの涙を流しました。
終末世界と近未来SFに抵抗がなければマストバイと言っても良いと思います。
選択肢も存在せず、純粋に物語に向き合えるので、私のようなノベルゲー初心者にもおすすめできます。
ポストアポカリプスとSFと人間ドラマの奇跡的融合
世界観としては人類が衰退し、シンギュラリティマシンに席巻されるようになりそこで細々と生きる人類(ただ、ジュードの職業柄良くも悪くも刺激的な事柄が多い)が文明崩壊前の超常科学の遺産を使って食いつないでいるという、ポストアポカリプスとSFが合わさったものとなっています。
ただ、この作品はこのような広大なスケールの舞台装置を用意しておきながら、ミクロの世界(個人の関係や感情)を無視しません。
いや、むしろそれこそが真骨頂と言っていいかもしれません。
人に引き金を引くことに躊躇がなく過酷な現実を冷徹に見つめるリアリストな人間のジュード、人間になりたいと願う、人よりも人を愛する夢想家なアンドロイドであるフィリア(彼女の博愛主義には非常に危ういところがあり、ジュードはその甘さの為に何度も危険に晒される)が思想的に対立し、それに伴って不器用ながらも心を通わせていく様は視るものの目頭を熱くさせます。
正直に言ってしまいますが本当に泣きました。
語り足りないところはありますが、このレビューはネタバレなしとしておきたいためこの辺りで。
シナリオライターの田中ロミオ様、並びにこの作品の制作と販売に関わった全ての方々に、このような素晴らしい作品に出会わせていただいたことを心より感謝いたします
2,000円でこんなにいいものを読ませてもらっていいんですか…?
シナリオは説明不足な部分が出てきてしまうほど短くもなく、蛇足・冗長になってしまうほど長くもなく、とても綺麗に収まっているなと感じました。
ギャグパートやキャラクター数は多くありませんが、その分主要キャラクターとそれらを取り巻く環境に尺を割いている印象で、大変読みやすかったです。
また、UIなどが主人公たちが身に着けているデバイスを意識されていて、それが更に没入感を出させてくれる小粋なポイントだと思います。
読み終わった後に今まで辿ってきた軌跡に思いをはせた後、「2,000円で読ませてもらって本当にいいんですか…?」と思わず考えてしまう、そんないい作品です。
値段以上の満足度
グラフィックもきれいで何よりストーリーが凝っているので終わった時の喪失感はきつかった
親子の物語
私はルナリアをプレイしてからKEYのファンになった者ですが、本作をプレイした後、KEYのファンになってよかったと改めて思いました。
世の中には有名ではあっても一流ではない人というのがいます。
有名である事と一流である事は必ずしもイコールではありません。
しかし田中ロミオさんに限ってはイコールで結び付けられていると断言できます。
終のステラという作品はそのことを世に証明しました。
証明しました、というより、改めて再証明されました。
主人公はアンドロイドと旅をする中でいつしかアンドロイドを人として扱うようになるという、ともすればありきたりな物語に映るかもしれませんが、両者の葛藤と成長の描写は見事であり、渾身の一作に仕上がっていると感じました。
SFという枠にはめる以上に親と子の物語だと感じました。
これからも田中ロミオさんの更なる活躍を期待しております。
またKEYとビジュアルアーツの製作スタッフの皆様や、本作の世界観を視覚的に補う重役を務められたデザイナーや背景担当の皆様にも労いの言葉を贈りたいと思います。
また、ボリューム満点の本作を1980円というリーズナブルな価格で販売してくれた事にも感謝申し上げます。
中高生でも手の届く価格であり全年齢作品でもあるので、多くの人達にプレイしてほしい一品です。